顧問契約 vs スポット契約

比較その1 普段のコスト

スポット契約

スポット契約では顧問料によるランニングコストは生じません。

顧問契約

一方、顧問契約では毎月一定の顧問料が必要です。
たとえば、当事務所の顧問契約は年間契約で、月額の顧問料はコースに応じて3万円~10万円となります。

比較その2 弁護士を探す

スポット契約

顧問弁護士がいない場合に、企業様が法律的なことを相談しようとすれば、まずは弁護士を探すところから始めることになります。そして、信頼できそうな弁護士が見つかったら、事務所の業務時間に合わせて電話をかけて相談の予約を申し込み、約束の日時に法律事務所を訪問することになります。その際の法律相談料については、30分あたり5,000円(税別)という事務所が多いようです(当事務所も同様です。)。
このような法律相談は、案件が複雑な場合などには1回では終了せず、あらためて法律事務所を訪問しなければならないこともあります。

顧問契約

顧問弁護士がいる企業様であれば、弁護士を探す必要がありません。また、法律相談料についても一部ないし全部が無料であることが多いうえ、法律事務所の中には相談予約をスポット契約の方よりも優先している所も少なくありません。
なお、当事務所の顧問先様については、弁護士直通の電話相談をご利用いただけるほか、メール等での相談も可能です。また、ご契約内容によっては弁護士が御社に訪問する形で法律相談を実施することもできます。
こうした顧問契約の利点を一言で表すと、“相談するハードルの低さ”です。法律相談に対するハードルが低いほど早い段階での相談継続的な相談が可能となり、事態の深刻化を抑制しやすくなるとともに、御社従業員様が対処の難しい懸案業務を抱え込んでしまうリスクを防止する効果が期待できます。

比較その3 弁護士の活用範囲

スポット契約

スポット契約であっても、法律相談や法律文書の作成などを弁護士に依頼することは可能です。もっとも、こうした業務はいずれも個別に費用が生じ得るほか、文書作成などについては、当該法律事務所様の方針や抱えている業務量によっては受任に至らない場合も考えられます。
当事務所の見解にはなりますが、スポット契約に馴染みやすいのは、法律的な紛争が既に顕在化しており、かつ個別に弁護士報酬をいただくのに見合う成果が期待できる案件かと思われます。もちろん、スポット契約の形で予防法務的なサービスを提供することは不可能ではありませんが、スポット契約の性質上、個別の案件を離れた多様な業務に対応していくことには限界があります。

顧問契約

顧問契約の利点は、上記のような“スポット契約には馴染みにくい業務”について弁護士のサービスを受けられることにあります。たとえば、日常業務の中で取引先から提案された契約書について弁護士に審査してもらう、契約を守らない取引先や悪質なクレーム・迷惑行為を行う相手方に弁護士から通知文を出してもらう、御社の事業活動(広告・勧誘方法、取引先との契約内容など)が法令に適合しているかどうか弁護士に審査を依頼するといった場合には、顧問契約を結ぶことで、より便利に弁護士を活用いただくことが可能です。
加えて、最近では顧問先様の問題だけではなく、従業員様などの個人的な法律相談をサービス内容として明確化し、顧問契約を福利厚生として位置づける法律事務所も見られます。

比較その4 弁護士との情報共有

スポット契約

スポット契約の場合、依頼を受けた弁護士が必ずしも御社の事業内容や業態を把握しているわけではなく、案件を進めるあたり一から関係性を構築していく場合もあります。
もちろん、弁護士は専門家ですので、はじめて依頼をお受けする方であっても必要な情報を聴取し、問題なく業務を遂行することはできます。しかし、弁護士も人間である以上、馴染みのない案件について事情を把握して処理方針を判断するには、一層慎重な事実確認が必要となります。

顧問契約

一方、顧問契約を結ぶ利点として、普段から弁護士が顧問先様と関係性を構築できることが挙げられます。
当事務所の経験上も、既に経験や情報のある案件については、より迅速な事件処理が行われやすいといえます。これは、普段の顧問業務を通じてトラブルが生じる前の段階から顧問先様の状況が把握できていること、トラブルが生じた案件について契約書作成・審査などを通じて必要なリスクヘッジやシミュレーションが図られていること、顧問先様との間で連絡方法や情報共有の体制が出来上がっていることなどの要因によるところかと思われます。

比較その5 個別案件のコスト

スポット契約

弁護士費用は、各法律事務所や弁護士が独自に定める「弁護士報酬基準」によって算定されます。顧問契約を結んでいる顧問先様であっても、顧問業務を超える個別案件をご依頼いただく際には、上記「弁護士報酬基準」に定める弁護士報酬が必要です。

顧問契約

法律事務所によっては、顧問先様について、個別案件ご依頼時に弁護士報酬の減額が受けられる場合があります。当事務所でも、ご契約内容に応じて個別案件ご依頼時の弁護士報酬を20%~40%割引いたしております。
各法律事務所が定める「弁護士報酬基準」では、多くの場合、ご依頼いただく案件の経済的利益(さしあたり、“相手方に請求する(請求を受けた)金銭や物などの評価額”とイメージしてください)によって着手金や報酬が変動する仕組みが採用されています。そのため、重大な事故のリスクがある企業様や取引単価が高額な企業様にとって、上記のような割引サービスには大きな経済的メリットがあります。
また、御社が弁護士に依頼するコストについては、たとえ相手方に契約違反などがある場合であっても自社負担が基本です。こうした点からも、予防できる紛争は早期に適切な対策を講ずることが重要となります。

比較その6 案件解決後の再発防止策

スポット契約

スポット契約は当該個別案件の解決を目的とするため、基本的には対象となる紛争が解決した時点で業務は終了となります。

顧問契約

顧問契約の場合には、個別案件が解決しても顧問先様との関係を継続させていただくことができます。そのため、個別案件の経験を踏まえた再発防止策紛争発生時の対応策を検討し、社内教育や仕組み化に繋げることが可能です。
このように、顧問弁護士を置くことは“トラブルの起きにくい企業体制”を構築していくための投資といえます。