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弁護士と本

弁護士の鈴木悠太です。

 

法律事務所というと、「本棚に分厚い専門書が並んでいて…」というイメージがあるかもしれません。

弁護士は調べ物が多い職業です。

 

手がけている案件を解決するために使える法律はないか?
適用したい条文がお客様の案件と適合しているか?
過去の裁判における傾向はどうか?

 

こうした点について文献からヒントを得ながら、最終的には弁護士自身の判断で理論構成を行い、相手方との交渉や裁判に臨むことになります。
自分の組み立てた論理に甘さがあれば、それこそ案件の勝敗を左右しかねません。

 

また、相手方も素直に手の内を見せてくれるわけではありませんので、将来の展開についての予測が必要となります。
具体的には、「もし自分が相手方の弁護士だったら…」と仮定し、自分の論理に対し、今度は敵対的な立場から検討を加えていくのです。

 

こうした過程で調べ物の量はさらに増えます。

 

私たち弁護士が読む本は、法律書だけに限られません。

 

たとえば、建築訴訟を担当する場合、工法についての理解が求められます。
医療事件を扱おうとすれば、問題となる分野の医学的な知識が必要です。

 

私は交通事故案件を多く取り扱っており、最近では、整形外科分野の医学書を読む機会が増えています。
さらに、文献だけでは足りない場合は、主治医の先生に面談等をお願いするケースもあります。

 

もちろん、私は医師ではありませんので、交通事故に遭われたお客様を実際に診断することはできません。
しかし、お医者様が書かれた診断書やカルテの記載内容が理解できなければ、お客様の症状を効果的に立証することが難しくなります。

 

交通事故に限らず、裁判等の場では、お客様に現に症状が存在する(症状を自覚している)だけでは必ずしも十分な賠償は実現されません。

 

どうしてその症状が「ある」といえるのか。
なぜ、その症状が交通事故から生じたといえるのか。

 

これらの点を客観的な証拠から論証できてはじめて、お客様の症状について適切な賠償を得ることが可能となります。

 

そのためには、まず弁護士自身がお客様の傷病やカルテの記載を理解することが重要です。
自分が分かっていないものを第三者(裁判所や相手方等)に説明し、ましてや説得するなど普通はできないからです。

 

弁護士になってみて実際に経験した仕事の多くは、学生時代に私がイメージしていたよりもずっと地味で、根気のいる作業の連続でした。
私たちの仕事は、似た案件はあっても、全ての条件が同じということは通常ありません。
毎回が真剣勝負。その繰り返しです。

 

しかし、そうやって組立てた筋道が裁判所で認められた際の達成感・充実感は言葉に表せません。
また、さまざまな分野の知識を得ることは自分の視野を広げ、人間的な成長にも繋がると思っています。