自己破産

自己破産とは

自己破産とは、借金等の返済が不可能であることを裁判所に申し出て、
借金等の帳消し(免責)を許可してもらう手続です。

任意整理や個人再生が借金等を減額する手段であるのに対し、
自己破産の場合には、 免責が許可されれば(一部の例外を除き)
そもそも借金等を返す必要がなくなります。

自己破産を利用できる人

  • 客観的に見て借金等を返していくことが不可能な状態にある人

借金等を返せる状態にあるかどうかは、
①負債総額、②収入、③健康状態、④年齢 などが考慮されます。

自己破産に向いていない人、注意が必要な人

  • 免責不許可事由(※)に該当する人
    →免責(借金等の帳消し)が認められにくい場合があるので、
     借入れの経緯や資産状況の推移、経済的な立ち直りに対する意欲・見通し等を
     しっかりと裁判所に報告していく必要があります。
  • 非免責債権(税金・社会保険料・養育費・慰謝料・婚姻費用・罰金など)が多い人
    →公共の利益のためや特定の債権者を保護するために、免責による免除が認められていません。
     たとえ自己破産しても返済義務はなくなりません。
  • 自己破産で制限される職業(保険外交員・警備員・運転代行業)に就いている人
    →自己破産を行うことで、免責許可決定が確定するまでの間、一部の職業に就くことが法律上制限されます。
     詳しくは法律相談の際にご確認ください。

免責不許可事由とは(テキスト後で差し替えます)
・存在するはずの財産を隠したり、処分してしまったりした場合
・破産を先延ばしにする目的で、クレジットカードで物品を購入してそのまま換金したり、
 闇金融などで高利な借入をしたりして当座の資金を得た場合
・借金等の返済をストップした後に、親族・知人といった特定の債権者だけに返済していた場合
・破産の原因が浪費やギャンブルである場合
・今後借金等を返済していくことが不可能と思われる状況下で、
 ローンを組んで高額な物品を購入している場合

手続きの流れ

自己破産をご依頼いただいた時点で借金の返済等は全てストップとなります。各債権者には弁護士から通知を送り、以後の対応についても弁護士が引き受けます。

これまで返済に充てていたお金を手元に残せるようになったら、自身の生活再建を始めましょう。当事務所では、多くの債務整理案件を手掛けてきた経験に基づき、依頼人自身の収入の範囲内で家計をやりくりできるよう丁寧にアドバイスします。

自己破産をするということは「返済の当てがない」ということですから、新たな借入れはNGです。家賃や光熱費の対応にも注意してください。
また、自己破産に限らず、債務整理をすると信用情報機関に登録され(いわゆるブラックリスト)、手続き終了後も5年~10年の間は借入れをしたり、ローンを組んだりできなくなります。

借金の返済等ができなくなったことにより、担保になっている不動産(自宅など)や自動車が売却され、残債務に充てられます。自動車については、売却に先立ち債権者によって引き上げが行われ、この時点で依頼人の手から離れることになります。他方、自宅不動産については、売却手続きがある程度進むまでの間は居住が可能です。

弁護士報酬に加え、手続きに必要な収入印紙などの実費、裁判所に納めるための予納金が必要となります。これらの費用については分割でお預かりすることも可能です。

費用の積み立てが終わると、いよいよ裁判所に自己破産を申し立てます。
浜松市、湖西市、磐田市、袋井市にお住まいの方は静岡地方裁判所浜松支部に、掛川市、菊川市、周智郡森町、御前崎市の一部にお住まいの方は静岡地方裁判所掛川支部(弁護士による申立ての場合には、静岡地方裁判所浜松支部への申立ても可)に申立てを行うことになります。

申立ての後、不足資料の補充や形式的な不備の訂正(補正)が終わると、正式に破産手続が開始されます。
法律上、破産手続開始決定の時点で存在する財産は換金されて債権者への配当に充てられるのが原則ですが、今後の生活再建に必要な財産については合計99万円の限度で、必要最低限の財産は依頼人の手元に残すことが認められています(自由財産)。こうした自由財産の拡張に関する手続や、自由財産以外の財産の換価・配当、免責に関する調査といった事務については、裁判所から選任を受けた破産管財人という弁護士が執り行います。
破産者(依頼人)は、破産管財人による面談その他の調査に協力する義務があります。また、調査の一環として、破産手続が終わるまでの間、破産者宛の郵便物は破産管財人に転送されるようになるほか、裁判所の許可なく転居を行うことも禁止されます。
ただし、配当ための換価や自由財産の拡張を行うべき財産がなく、免責を妨げる事由もない案件については、破産管財人が選任されることなく破産手続が即時に終了します(同時廃止)。

破産管財人が選任される案件では、3か月前後の期間を目途に、関係者に手続きの進行状況を報告するために債権者集会という機会が設けられます。
債権者集会の欠席は基本的に許されませんが、個人の破産において債権者が集会に出てくることは稀で、多くのケースでは裁判所・破産管財人・破産者(依頼人)の三者間で簡単な報告をして終了しているのが実情です。問題のない案件であれば、1回の集会に要する時間は概ね10分程度です。
破産手続が終了すると、免責審尋という手続が実施されます。
免責審尋とは、負債を帳消しにするか否かを判断するため、裁判所が破産者(依頼人)を面接する手続きです。
案件が複雑でない場合、第1回の債権者集会にて破産手続が終了し(異時廃止)、そのまま免責審尋まで行われることも少なくありません。
なお、破産管財人が選任されない同時廃止の案件では免責審尋のみが実施されます。
この場合には、複数の破産者が大きな部屋に集められ、1人の裁判官が講義のような形式で免責審尋を行います。
なお、債権者集会や免責審尋には弁護士も同行しますのでご安心ください。

よくある質問

官報という機関紙に掲載されますが、一般の人が官報をチェックしていることは非常に珍しく、周囲に破産などが発覚する可能性は低いと考えます。また、破産の事実が住民票や戸籍に載ることもありません。

生活に必要な資産(現金・自動車・保険)などについては原則99万円まで保有することが可能です。
仕事についても一部の例外を除き、これまでどおり続けることが可能です。選挙権を失うこともありません。

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