こんにちは!静岡県浜松市の弁護士,大和田彩と申します。今回は,離婚を切り出す前にチェックしておきたい3つのポイントと題して,弁護士の視点から解説します。
ポイント1 配偶者の収入額をチェックせよ!
配偶者の収入資料額,具体的には総支給額の年収ですね。これをチェックしてください!
これ,何のためかというと,養育費と婚姻費用(婚姻費用というのは別居期間の生活費です。)は,お互いの収入により決まってくるからです。
まず,離婚を切り出した後,実際に離婚するまでの期間について,別居する場合,その間の生活費について,お互いの収入やお子様の数に応じた婚姻費用を請求し,それをもらいながら,離婚の協議や調停・裁判を行っていくことになります。婚姻費用については,家庭裁判所のホームページに,いくらになるかの簡易算定表が乗っていますので、お互いの収入に照らし合わせてチェックしてみましょう。
また,離婚後の養育費についても,お互いの収入やお子様の数に応じて決まります。これについても家庭裁判所のホームページに,いくらになるかの簡易算定表が乗っていますので,お互いの収入に照らし合わせてチェックしてみましょう。
ポイント2 配偶者の給与等の支払い先をチェックせよ!
収入の支払い先,これは,お給料をもらっている方であればお勤め先,事業者の方であれば取引先などですね,この情報は,支払いが滞った場合に,強制執行(つまり差し押さえ)を掛ける先を知るためにチェックする必要があります。配偶者の職場を知らない方はあまりいらっしゃらないかと思いますが,事業主の場合の取引先については知らない方もいらっしゃるかと思いますので,そのような場合特にはあらかじめ情報を得ておくと便利です。
ポイント3 配偶者の口座等の情報をチェックせよ!
離婚において財産が大きく動く可能性がある部分が財産分与です。以前動画で取り上げましたが,離婚したからといって慰謝料が問題となるケースは意外と少ないですし,まとまった財産がある方ですと,慰謝料よりも財産分与の額が大きくなることが多い印象です。
財産分与というのは,簡単に言うと,夫婦が築き上げた財産を離婚に伴って半分にわけようという制度で,その基準時としては別居時になります。
財産分与の対象として良く出てくるのが銀行預金や生命保険金,不動産などです。
このうち,不動産についてはその存在をあまり隠しようがないのですが,特に預金については,配偶者が知らない口座を持っているなどということもあると思います。
離婚の調停や裁判の中で,隠している口座があるのに配偶者がその情報を出してこない場合,裁判所において文書送付嘱託という手段を使って口座の取引履歴などを銀行から提出してもらうことができます。
その際,やみくもに文書送付嘱託を申立てすることができないので,どこどこ銀行のどこどこ支店に口座があるはず,というように特定した形で,裁判所に申し立てる必要があるのです。
そのため,別居や離婚を切り出す前に,最低限,どこの銀行のどの支店に口座がありそうかということをチェックしておくと役に立ちます。
いかがでしたでしょうか。実際に配偶者に対して離婚を切り出してしまうと,配偶者が警戒して,収入や財産の情報を隠してしまうことがあります。ですから,離婚を切り出す前,警戒をされる前になるべく多く収入や財産の情報を得ておき,できれば弁護士など専門家に相談してその後の交渉の作戦を立ててから,離婚を切り出すのが望ましいです。
当事務所でも,離婚前の準備についてのご相談を多数受けております。何から始めたら良いかわからないという方,ぜひお気軽にご相談ください。