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弁護士が解説【法律豆知識】教えて!悠太先生『離婚しようと思っています。子どもがいるので、なるべく有利に離婚したいです』

こんにちは、事務スタッフのエリです。

またまたお久しぶりの更新になってしまいました。

そして前回、「次回は『4月から法改正があるとか?いまさらですけどパワハラ・モラハラについて教えてください』をテーマに悠太先生にいろいろ質問してみたいと思います!」とお伝えしていましたが、予定を変更して【離婚】についてお伝えします。


普段生活していて、夫とケンカしたりイライラしたり、「離婚じゃー!」って思うこともないわけではありませんが(笑)子どもがいるとなかなか離婚には踏み出せなかったり。。。専業主婦だったり、パートで働いていたりすると経済的にも離婚後に生活できるのか不安になりますよね。


今回は離婚に向けた準備も含めて、具体例を上げながら、悠太先生に解説してもらいます。


こんな家庭を例に考えてみましょう。

夫は50代の会社員、妻は40代のパート勤務、子どもは3歳の年少。夫の持ち家に住んでいます。夫は多分浮気をしています。夫婦で会話もなく、関係はすでに破綻気味。子どもがまだ小さいので、なるべく有利な条件で離婚したいと考えています。


①そもそもこんな状況で離婚できますか?

配偶者の不貞行為は裁判における離婚原因となります(民法770条1項1号)。
本件で「なるべく有利な条件」で離婚するには、夫と浮気相手との肉体関係を裏付ける証拠が重要です。

典型はラブホテルに入っていく写真など(興信所による追跡調査)。ほかにはGPS、メール、録音・録画、写真など。本人の自白も録音や文書に残っていれば証拠になりますが、夫を問い詰めた際に素直に認めるか一か八かの要素が強いです。

証拠を集めるために、勝手にスマホを見ても大丈夫ですか?

法的に言えば、スマホ・携帯内の情報を見る(ロックを解除する行為を含む)ことは犯罪には該当しません。他方、GmailやSNSなどに勝手にログインすると不正アクセス禁止法違反に該当する場合があります。

犯罪に該当しないとしても、プライバシー侵害による民事上の不法行為には該当する場合があるため、逆に損害賠償請求を受けてしまうリスクはあります。

既に入手された証拠を使うこと自体は可能ですが、これらの行為を積極的には推奨できません。


浮気調査の方法とその適法性は、機会があればまた詳しくお話します。

証拠がなければ離婚できませんか?

不貞行為が立証できない場合であっても、夫婦関係が破綻し、回復の見込みがないことが証明できれば離婚できます。

例えば、長期にわたる別居や経済的・性的な不調和なども離婚事由になり得ますのでご相談ください。

離婚の意思はまだ夫に伝えていません。どのタイミングで伝えるのがベストですか?

証拠収集や別居の準備が終わってからにしましょう。


②夫と直接対決はしたくないので、別居して弁護士に依頼したい。こんな状況でも代理人になってもらえますか?

大丈夫です。

代理人が付けば、夫に対して「直接連絡はしないように」と弁護士から伝えることが可能です。

実家は車で1時間以上かかるので、離婚の話が解決するまでは、マンスリーマンションなどに住む予定でいます。家賃を含めた生活費を夫に請求することはできますか?

婚姻費用の請求が可能です。


私の収入は月8万円程度、夫の収入は年収800万円程度です。婚姻費用はどれくらいになりますか?

婚姻費用は15万円程度になりそうです。

裁判所のホームページに算定表が掲載されていますので、こちらで確認することができます。

https://www.courts.go.jp/toukei_siryou/siryo/H30shihou_houkoku/index.html


ちなみに弁護士費用ってどの位かかりますか?

まず、当事務所では初回の相談料として30分5500円がかかります。

相談のみで終わってもいいですし、実際にご依頼いただく場合は着手金などがかかります。

離婚事件の費用体系は事務所ごとに異なるので一概には言えませんが、個人的な感覚では、離婚調停をご依頼いただく場合の着手金・報酬金の合計は50万円~70万円,訴訟の場合は70万円~100万円くらいが多いような気がします(いずれも税別)。
ただし、離婚以外の争点(慰謝料や財産分与など)がある場合、これについて別途弁護士費用が発生することがあります。
離婚の弁護士費用はケースによって幅が大きいので、実際に法律相談を受けていただき、見積をお願いするのが確実です。

当事務所の費用に関してはこちらもご確認ください。

③慰謝料の請求はできますか?

不貞行為を立証できないと慰謝料を請求することは難しいです。


④夫に養育費を支払ってもらえますか?今はパート勤務ですけど、離婚後は正社員で仕事を探すつもりです。離婚後、私の収入が増えると養育費は減額されてしまいますか?

養育費は双方の収入差によって決まるため、相談者の収入が増えれば減額となります。ただし、調停や訴訟で養育費が決まった場合、夫側が事情変更を理由とする減額調停を起こす必要があります。

先ほどの収入を元に計算すると、養育費は9万円程度になりそうです。

養育費についても裁判所のホームページに記載がありますのでご確認ください。

https://www.courts.go.jp/toukei_siryou/siryo/H30shihou_houkoku/index.html


※養育費は一度決定すればその金額が支払われますが、将来の事情で変わることもあります。


⑤結婚生活5年目でも財産分与はできますか?結婚後の預金もある程度把握していますが、半々ですか?

財産分与の割合は基本的に「夫婦で半分ずつ」となります。


子どものために、子どもの口座の預金はそのままで大丈夫ですか?お祝いやお年玉など100万円くらいあります。

子ども名義の預金も実質的に夫婦財産であれば分与対象。お祝いやお年玉については子どもを名宛て人とするので対象外と考えるのが自然です。


⑥同居中に準備しておいたほうがいいことは何ですか?

夫の預金口座(金融機関名・支店名・口座番号)・残高の確認、給与明細や源泉徴収もコピーを取っておくといいと思います。


離婚については、子どもがいると特に気になる部分も多いと思います。

まずは別居をするという方法もあります。

長期戦の方が有利になる場合もあるかもしれません。

離婚問題は相談者はもちろん、相手方の状況によっても様々なケースが考えられます。

1人で限界まで悩まず、まずは専門家に相談することをおすすめします。

悠太先生、ありがとうございました。

次回は『相続』について解説をお願いしようと思っています。