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弁護士という仕事①

弁護士の鈴木です。

 

以前ブログでも書きましたが、先日、浜松市内の中学校で私の仕事について講話を行う機会をいただきました。

私としては、単純に進路選択を控えた生徒さんの一助となればという思いでしたが、実際に話してみると自分自身の考え方を整理分析する良いきっかけになりました。

 

そこで、本日は、弁護士の仕事について、私なりの考えを書きたいと思います(弁護士の仕事には大きく分けて「民事」と「刑事」というカテゴリーがありますが、私の記事では民事事件をイメージしています)。

 

 

 

私たち弁護士は、商品や形の決まったサービスを提供するわけではありません。

弁護士の主な仕事は「お客様の法律的な権利を実現すること」です。

 

程度の差はあれ、人は誰しも社会の中で他者と関わりながら生活をしています。

考え方や物の見方、利害関係が異なる人同士が付き合っていくと、どうしても行き違いや衝突が起こります。
また、世の中には、自分の利益のために他人を騙したり利用したりする人間も、残念ながら存在します。

 

このようなトラブルが生じたとき、私たちの社会のルールである法律の出番です。

 

しかし、一口に法律といっても実際に存在する条文数は膨大ですし、1つ1つの内容も難解です。
専門的な勉強をした人でない限り、現実に起こった出来事についてどの法律を適用し、どのような結論を出せばいいのかを正しく判断することは容易ではありません。

 

また、いかに理論上は正しい言い分であっても、裁判所がそれを認めないのであれば実質的には無意味ともいえます。
そのため、私たちが主張している権利を実際に形にするには、「裁判で戦い、勝つ」ということを最後には念頭に置かなければなりません。

 

さらに、私たちの社会には様々な人が生活しています。

押しの強い人もいれば、そうではない人もいます。
口が達者な人もいれば、どちらかというと口下手な人もいるでしょう。

どんな性格の人であっても、そのことによって法的な権利を奪われる理由はありません。

しかし、現実には、こうした気質や社会的地位等に基づく「力関係」に、私たちは大きく影響を受けています。

 

このように、私たちの社会には法律というルールはあるものの、

  1. 法律そのものの難しさ
  2. 裁判や交渉などを適切に進めていくための知識や技術
  3. 当事者同士の様々な力関係

等の要素があるため、実際に法律に基づく権利を実現していくことは容易ではないのです。

 

それどころか、専門家でない人同士が誤った知識や方法で手続を進めてしまえば、必要以上に感情的になりお互いの溝は深まっていく一方です。

 

 

私たち弁護士がいるのは、このような問題を解決し、法律が定めたルールどおりに社会が動いていくようにするためです。

 

もちろん、一義的にはお客様の権利利益の追求が弁護士の役割といえますが、それも「社会全体が良い方向に行くように」という自分なりの信念があってこそだと思っています。