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企業法務としての反社会的勢力対策

弁護士の鈴木です。

 

昨日,(公財)静岡県暴力追放運動推進センター様主催の不当要求防止責任者講習において、「企業活動における反社会勢力への対応」というテーマで講話を行いました。

 

・平成19年6月19日付け犯罪対策閣僚会議幹事会「企業が反社会勢力による被害を防止するための指針」(平成19年政府指針)

・全国各地の暴力団排除条例

などにより,反社会的勢力との関係遮断は企業コンプライアンスの重要な課題と位置づけられるようになりました。また,企業が暴力団排除条例に違反した場合,ペナルティとして当該事実が公表されるケースもあり,そうなれば企業活動それ自体を続けることが困難になってしまうことも予想されます。

 

 

不当要求を意図的に行おうとする者は,その威力に加え,周到な事前準備や駆け引き的なテクニックを兼ね備えている場合があります。そのため,個々の従業員様が現場レベルで対処することは非常に難しいと考えるべきです。

 

また,たとえ相手が反社会的勢力であったとしても,ひとたび契約を締結してしまえば当事者は合意内容に拘束され,一方的に解除を行うことは困難となります。後になって相手が反社会的勢力の人間であったと判明した場合であっても,民法上,それだけで契約を解消できるわけではないのです。

 

 

こうしたことから,各企業様においては,平素の反社会的勢力への対策を業務の一環として捉えていただく必要があると思います。

 

 

ただし,「企業レベルでの対策」と言っても,専門部署を新設したり,専属の従業員を雇用したりといったことは必ずしも必要ではありません。

 

たとえば,前述したような反社会的勢力と契約を締結してしまった場合のリスクについては,現在お使いになっている契約書の書式を見直すことで対処できます。また,有事の際の対応についても,初動対応さえ誤らなければ,警察や暴追センター,弁護士など複数の外部機関のバックアップにより解決を図る途があり得ます。

 

 

まず大切なのは,①会社としての行動指針を社内共有しておくこと,②有事の際に相談できる外部機関との窓口を確保しておくこと,③契約書等の雛形を整備すること等です。こうした内容であれば,既存の総務部や法務部においても対応可能ですし,場合によっては顧問弁護士を活用いただく方法もあろうかと存じます。

 

 

久しぶりの講演で拙い部分もあったかと存じますが,私のお話が少しでも地元企業様のお役に立てれば幸いです。