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株式6(大阪地方裁判所平成29年1月6日 決定)

今日は、新株及び新株予約権の発行はいずれも著しく不公正な方法であるとして、その発行を差し止める旨の仮処分決定が認可された大阪地裁決定についてみていきましょう。

【事案の概要】

Y社の株主であるXが、取締役会決議に基づき現に手続中の普通株式6万7175株の新株発行及び新株予約権60万5475個の発行について、会社法210条2号及び同法247条2号に定める「著しく不公正な方法」による発行であるとして、これを仮に差し止めるよう求めた。裁判所は、Xの仮処分命令申立てを認容する決定(以下、「原決定」という。)をし、原決定がYに送達された。本件は、Yが、原決定を不服として、保全異議を申し立てた事案である。

【裁判所の判断】

仮処分決定を認可。

【判例のポイント】

株主構成の変更自体を主要な目的としてなされた新株または新株予約権の発行は、原則として、不公正発行に該当するというべきである。そして、現取締役らの取締役たる地位の喪失や取締役会における影響力の変動にかかわる経営権争奪の局面における第三者割当による新株または新株予約権の発行は、実質的な利益相反状況下における新株又は新株予約権発行であるといえるから、これを合理化するに足りる特段の事情のない限り、現取締役らの経営権維持を目的とするものであり、株主構成の変更自体を主要な目的とする不公正発行に該当するものと推認できる。

その上で、大株主である債権者が、取締役の過半数を入れ替えるべく、取締役1名の解任および新取締役6名の選任を目的とする株主総会の開催を求める状況下で本件新株発行に係る取締役会決議がされているなど、本件新株等発行は、現取締役らの取締役たる地位の喪失や取締役会における影響力の変動にかかわる経営権争奪の局面においてなされたものであるといえる。

この大阪地裁の決定は、判例上確立された主要目的ルール(新株発行の際、どちらが主要な目的であるかにより、不公正発行に当たるか否かを判断するという、判例の基準)と言われています。今後の裁判所の動向に注目です。