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知ると便利!弁護士が3分で解説する内容証明郵便の役割

浜松市の弁護士の大和田彩です。

今回は,弁護士が使用する法的な書類について解説します。法律事務所の事務職員の方や,企業の法務部の方などもぜひご参照下さい。

弁護士が,依頼者を代理して相手方と交渉をする場合に,「内容証明郵便」という郵便を使用することがあります。内容証明郵便は,送り先への到達が完了すると,郵便局から,書面をもって,どのような内容の書面がいつ到達したかについての証明がなされます。したがって,内容証明郵便を送付することにより,相手方は,そんな書面は受け取っていないなどと争うことができなくなるのです。内容証明郵便は,紙面ベースの郵便を作成し,送付することもできますが,当事務所においては,事務所内のパソコンにて書面を作成し,電磁的方法をもって相手方に送信する,「電子内容証明郵便」というサービスを利用して送信しています(郵便局に行く手間も省けますし,24時間いつでも送信ができるため,とても使い勝手が良いサービスと感じています。)。

では,どのような場合に内容証明郵便を用いるかというと,法律行為の要件となる意思表示をする場合に用います。
具体例を挙げると,期限の定めのない債務(返済期限を定めない金銭の貸し付けなど)について,相手方に催告(いつまでに支払って下さいとの催促、民法412条3項)をする場合のように,意思表示が到達した時点から弁済期,消滅時効など法的な期限を生じさせる場合などに用いることがあります。期限の定めのある債務の場合であっても,期限を徒過したときに新たな期限を再設定し,その期限までに支払いがなければ法的手続き(裁判など)をしますよ,という趣旨の裁判の前段階の書面として使用することも多いです(これは,弁護士だけでなく,消費者金融会社なども同様の方法にて債務者に通知をし,支払いを催告することがあります。)。また,債権譲渡をする場合の譲渡人から債務者への通知(民法467条1項)など債務者への対抗要件として通知が必要になる場合にも,内容証明郵便を用いて通知を行います。

もっとも,内容証明を利用する場合,多少高額の料金(文章量によりますが,電子内容証明郵便ですと2000円程度)がかかりますので,弁護士からの通知であっても,相手方との簡単な連絡事項や,一度内容証明を送った後の弁済額の交渉などについては,相手方と対面又はお電話でお話しするか,郵便を使用する場合でも普通郵便や簡易書留などを用います。

取引相手などに対して文書で通知をしたいと考えている方は,その文書が法的にどのような意味を持つ文書かを見極めて(債権額によっては弁護士に相談をするなどしてから),内容証明郵便を使うか,普通郵便,書留郵便を使うか判断されるとよろしいかと思います。