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浜松の弁護士による会社のための法務教室② 従業員への貸し付け

静岡県浜松市の女性弁護士、大和田彩です。

鈴木・大和田法律事務所では、地域の企業の顧問業務その他の企業法務を中心的業務として取り扱っております。そこで、中小企業の法務部や総務、人事に携わっている方に向けて、役立つ情報を提供していけたらと考えております。
今回は、日頃、顧問先企業様よりご相談(場合によって、金銭消費貸借契約書の作成のご依頼)を受ける機会の多い、従業員への貸し付けに関する問題をピックアップしました。

従業員への貸し付けを行う場合,会社側としては,月々の給与や賞与から相殺(いわゆる天引き)して返還という方法を用いることがあります。

従業員の賃金からの貸付金の天引きは、労働基準法24条1項の賃金の全額払いの原則に反し違法となる可能性があります。

もっとも、判例上、労働者の同意に基づく相殺については、労働者の自由意思に基づくものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在する場合であれば、賃金からの天引きも適法になしうると考えられています。

すなわち、①天引き額を賃金と比して高額に設定しないこと、②従業員から賃金からの貸付金の天引きについて事前の同意をしっかりと取る(可能であれば書面で同意を取る等)ことがポイントになると思われます。

このように、従業員に対する貸し付けに伴い、賃金からの天引きを行うには、しっかりした書面の準備が重要となります。

ご心配であれば、一度企業法務に詳しい弁護士にご相談されることをお勧めします。

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