債務整理を扱っていると、家計が赤字になってから何年も経過した後に相談に来られる方が少なくありません。そうした人の多くは、赤字分を他の借入れで補填したり、生きていく上で本来必要な費用や貯蓄を削ったりして、自転車操業的に返済を続けていらっしゃいます。
しかし、そうした無理な返済は基本的には問題の先送りにすぎず、根本的な解決には繋がりません。
返済が苦しい!と感じたら、次のことに取り組んでみて下さい。
1.固定費を見直す
節約の王道は固定費の削減です。たとえば、必要性の低い自動車・バイク等があれば処分する、携帯電話のプランや保険を見直す、サブスクリプションサービスを解約するといった方法が代表的です。また、手元に資金があるのであれば、家賃の安い住居に引っ越すことも考えられます。
固定費の削減は、一度実行してしまえば節約効果が将来にわたって継続します。1ヶ月あたり5,000円の削減に成功した場合、年間で6万円、10年で60万円、20年で120万円もの節約が可能です。
2.家計の収入を増やす
固定費を中心とした支出の見直しを行っても余裕がない場合には、収入を増やすことを考えてもよいと思います。社会人の子供が同居しているご家庭であれば、生活費を入れてもらうことを検討してみるとよいでしょう。また、夫婦の一方が専業主婦(夫)の場合、家事や育児に支障がない範囲でパート等に出てもらうこともあり得ます。
なお、無理なダブルワークはお勧めしません。仕事を増やしたことに伴って支出も増加してしまい、思った程の経済効果を得られない場合もありますし、体調不良によって本業に支障を来すおそれがあるためです。
3.弁護士に相談する
上記によっても返済に苦慮するようであれば、そもそも現在の負債自体があなたにとって過剰である可能性があります。そのような場合、弁護士に依頼して返済金額を減らすべきです。
世間では「弁護士の所へ行くのは手元資金や借入枠が尽きた最終段階である」といったイメージが強いのかもしれませんが、そんなことはありません。むしろ、債務整理をするなら早ければ早いほど良いと考えます。
具体的な事例を使って説明します。
Aさん・Bさん(それぞれ30歳)は、いずれも消費者金融5社から各50万円を借り入れており、各社に対して月額約1万5000円(5社合計7万5000円)を返済している。Aさんは弁護士に個人再生を依頼し、Bさんは自力で返済を続けることにした。
Aさんの場合
本件の場合、個人再生手続を使うと負債総額を100万円まで減額できる可能性があります。残債務100万円を3年で返済する場合の月額は振込手数料を含めて約3万円です。弁護士費用が50万円掛かったとして、返済に要した費用は合計150万円となります。
Bさんの場合
50万円を46回払い・年利18%で返済する場合の利息は約20万円です。したがって、Bさんの合計返済額は(50万円+20万円)×5社=350万円となります。
両者の比較
AさんとBさんを比べると、両者の返済費用に200万円もの差が生じています。
ただし、Aさんは債務整理を行ったことでブラックリストに登録されることになり、向こう5~10年程度、新たな借入れができません。しかし、返済月額は当初の半額以下になっており、返済期間中に突発的な支出があっても余程のことがない限り対応可能と思われます。加えて、3年の返済が終わった後、この月額3万円をそのまま貯蓄に回せば年間で36万円ずつ資産が増えていきます。
他方、Bさんは月額7万5000円を約4年間にわたり支払い続けなければならず、Aさんと比べて家計に余裕がありません。突発的な支出が発生すればたちまち返済が困難となり、ここで新たな借入れを行なえば借金の完済が遠のいていきます。
弁護士に債務整理を依頼するメリットは、借金をより早く・より確実に無くせることです。個人再生等を使えば、住宅ローンを維持しつつ、それ以外の負債を整理するといったことも可能です。
Aさんは、33歳で借金を完済できましたので、そのまま年間3万円ずつ貯蓄を増やしていけば、20年後(53歳)には720万円を蓄えることができます。さらに冒頭で述べたような固定費の削減や収入の確保等を行っておけば、さらに資産を増やすことも可能でしょう。
私たち弁護士の使命は、借金でお困りの皆様がAさんのように再びやり直すためのお手伝いすることです。悩みを抱え込まず、お気軽にご連絡ください。