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子ども名義の預貯金と財産分与

浜松市の弁護士 鈴木悠太です。

離婚時の財産分与を巡ってしばしば問題となるのが、子ども名義の財産をどうするかです。

今回は、実務上ご相談の多い、子ども名義の預貯金と学資保険について解説したいと思います。

子ども名義の預貯金



子ども名義の預貯金がある場合、そのお金が実質的に誰のものなのかという観点が重要です。


預貯金の原資が夫婦の収入であるケースについては、たとえ名義が子どもになっていたとしても実質的には夫婦財産であると評価され、財産分与の対象となるのが通常です。

他方、実質的に見て名義人(子ども)の財産と評価すべきケースでは、子ども名義の預貯金は財産分与の対象には含まれません。たとえば、預貯金の原資がお年玉や小遣いであるケースや、預貯金が子に対する贈与の趣旨で形成されたものであるケース等がこれに該当します。


こうした預貯金の実質的帰属については、その金額、子どもの年齢、預貯金形成の目的、口座の管理状況といった事情からケースバイケースで判断がなされています。


参考として、実際に子に対する贈与を認定した裁判例(要約)を紹介します。


《大阪高判平成26年3月13日判タ1411号177頁》

子ども名義の預金について、夫が「非常に経済的に余裕のある医師」であることを指摘しつつ、世間一般において、預貯金を名実ともに子どもに渡す趣旨で、贈与税の課税限度額を超えない範囲で子ども名義の預貯金を解説することはよくあることを理由に、当該預貯金がいわゆる名義預金(借名預金)であることが具体的に立証されない限り財産分与の対象には含まれないと判断。


なお、子ども名義の預貯金は時間を掛けて形成されていくことが多いため、実際の事案では、そうした預貯金の原資や貯蓄目的をどこまで具体的に主張立証できるかがポイントになります。

学資保険


学資保険については、一方の特有財産から保険料が支払われていたり、夫婦以外の第三者(親など)が保険料を負担していたりといった事情がない限り、財産分与の対象に含まれるのが通常です。

分与の方法としては、保険を解約したうえで返戻金を分配するか、または保険を継続したうえで代償金によって清算するかのいずれかとなります。代償金の算定にあたっては、別居時における解約返戻金証明書を保険会社から取り付けるのが通常です。


この記事の筆者


私は、浜松市を拠点に、弁護士として離婚事件・男女問題を積極的に取り扱っております。

財産分与を含む離婚の条件でお悩みの方はぜひお気軽にお問い合わせください。